円相場 一時1ドル=110円台前半まで値上がり
トランプ政権が始まって、約三ヶ月。世界が激震する出来事が起こりました。 その影響により外国為替も円高にふれました。
ここで提供される情報、意見は、私個人によるもので、所属する団体、会社、組織による意見・見解を代表・代弁するものではありません。
1.まずはニュースより
7日の東京外国為替市場は、アメリカのトランプ政権がシリアの軍事施設をミサイルで攻撃したことで投資家の間でリスクを避けようと、比較的、安全な資産とされる円を買う動きが出て、円相場は一時、1ドル=110円台前半まで値上がりしました。
午後5時時点の円相場は、6日と比べて9銭、円安ドル高の1ドル=110円60銭から62銭でした。
一方、ユーロに対しては6日と比べて2銭、円高ユーロ安の1ユーロ=117円62銭から66銭でした。ユーロは、ドルに対しては1ユーロ=1.0635から37ドルでした。
市場関係者は「トランプ政権がシリア国内の軍事施設にミサイル攻撃を実施したことで地政学的なリスクの高まりが意識され、一時、比較的安全な資産とされる円を買う動きが広がった。
その後は、値上がりした円を売る動きも出たが、投資家の間では今回の攻撃をきっかけにシリアをめぐる情勢がさらに緊迫化するかどうかを見極めたいという雰囲気が強まっている」と話しています。
2.なぜ、こうなったのか
表題にもあるように米国、アメリカのトランプ大統領の指示によるシリアの攻撃により、為替は変動しました。
アメリカにとって、国際政治を司る上で、気になる国は
・中国
・北朝鮮
・ロシア
・シリア
またISの存在です。
大きく分けると、シリアでは
アサド政権、反政府勢力、ISが三つ巴になって6年にも及び内戦を繰り広げています。
アメリカはロシアとIS打倒を模索しましたが、一方でアサド政権のシリアは歩み寄ることがなく、ロシアもまたシリアに協力する形を取っています。
そんな中、シリアに化学兵器使用の疑いが報道されました。
化学兵器の中には、かつて日本において東京の地下鉄でテロが行われたサリンも
含まれています。
アメリカのトランプ大統領は
「アサド大統領は無力な人々の息の根を止めた」
「シリアが禁止されている化学兵器を使用したことに議論の余地はない。国連安保理の要求を無視した」
「難民危機は深まるばかりで、地域の不安定化も続いている」
と怒りをあらわにしました。
そして・・・
アメリカ国防総省は、地中海に展開するアメリカ軍の駆逐艦2隻から現地時間の7日午前4時40分ごろ、日本時間の7日午前9時40分ごろ、
巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射し、シリア中部のシャイラート空軍基地を攻撃したことを明らかにしました。
3.ドルが売られ、円が買われた
ミサイル攻撃が始まった時間、日本は午前9時40分ごろ、ちょうど日本の
株式市場が始まって40分経過です。
始まった当初は円を売ってドルを買う動きが出て円相場はいくぶん値下がりして始まりました。
しかし、アメリカのトランプ政権がシリア国内のアサド政権の軍事施設を攻撃したことが伝わると、投資家の間でリスクを避けようと、
比較的、安全な資産とされる円を買う動きが出て、
1ドル=111円程度だった円相場は、一時、1ドル=110円台前半まで
急速に上昇しました。
たちまち株価、そして為替に影響が出ます。それが
ドルが売られ、円が買われた・・・という状態です。
アメリカがシリアを攻撃したことにより、極端な話、戦争が起こるかも
アメリカに報復があるかも、と予想すると
ドルが売られます。
そしてまだ日本は安全だろうと円が買われるわけです。
ドルが売られる=ドルの価値が安くなる
=ドル安
円が買われる =円の価値が高くなる
=円高
他の表現として円高を
円が急騰
円が値上がり
とも言います。
円高になると株価に影響も与えます。
輸出をメインとする企業にとっては円高は好ましくない状態のため
業績が悪くなるかもしれません。
またシリア情勢の緊迫が長引くかもしれない・・・。
それを予想した投資家により、企業の株は売られ、株価は下がることもあります。
なお、本日7日は乱高下・・・株価は上がったり、下がったりと
下の引用記事の状態でした。
「午後に入るとシリアへの攻撃は限定的であり、アメリカが地上部隊を派遣するような事態に発展していく可能性は低いという見方も広がり、多くの銘柄が買い戻された」
4.地政学リスク
為替の変動要因はいくつも理由がありますが、今回ブログに取り上げている為替の変動は地政学リスクに類します。
地政学リスクはまさに読んで字の通り、国際情勢の変化が経済にも影響を及ぼす状態です。
アメリカのシリア攻撃だけに限らず、北朝鮮によるミサイルの発射
欧州などで起こるテロなども当てはまります。
また、このまま円高が進行すると貿易、輸出関連企業にとっては望ましくない状態となります。
4月、新年度に入ったばかりですが、三ヶ月後の業績にも影響があるかもしれません。
トランプ大統領は、第3次世界大戦を引き起こすものではないと、言及していますが、中東をはじめ、東アジアなども渡航が制限されたり、また企業の海外進出も遅れる可能性もあります。
5.アメリカの攻撃に世界は
①ロシア
プーチン大統領は、
「アメリカの攻撃は国際法違反で侵略行為だ」と改めて非難したうえで
「アメリカが米ロ関係に損失をもたらしたことは残念だ」
と表明したということです。
②サウジアラビアとイギリス
アメリカがアサド政権の軍事基地に対して行った軍事作戦を全面的に支持して
いると発表しました。
③イラン
この攻撃を非難すると伝えました。
④フランス
ジャン・マルク・エロー外務大臣は、
アメリカがシリアで空軍基地を爆撃したことはアサド政権への警告だと話しま
した。
6.そして気になる
アメリカの3月度の雇用統計は先ほど発表されましたが予想を下回りました。
市場では、FRBが、今回の雇用統計の結果をふまえ、トランプ政権が掲げる経済政策の具体化の行方や、アメリカによるシリアの軍事施設への攻撃が金融市場などに与える影響を慎重に見極めながら、利上げのタイミングを探るものと見ています。